タントと過ごす日々

今回はタントの使い勝手について触れてみよう。
2020年3月、長く乗ったハリアーを手放し、ダイハツのタントカスタムRSセレクションへと乗り換えた。3年後には、アイドリングストップ非搭載モデルを求めて再びタントへ。今度は電磁ブレーキ付き。この「ブレーキホールド」が、じつに便利。信号待ちでもブレーキを踏み続けなくていい。「いままで何をしていたのだろう」と思うくらい、自然に、足元が軽くなる。
助手席には広い物入れ。ティッシュも財布もスマホも、雑然と置ける。
運転席側にもUSBポートつきの収納があり、細かいものはたいてい収まってしまう。室内の見た目も悪くない。安っぽさを感じない仕上がりで、普段の使い勝手にも不満はない。
両側スライドドアは電動。戻ってきたとき、自動で開いてくれる「予約開閉」機能もある(コツはドアミラー付近から近づくこと。慣れれば大丈夫)。オートクルーズも使える。追従も減速も滑らかで、エアコンもよく効く。自動ハイビームも便利だ。街灯の少ない道では、意外と重宝する。
渋滞でちょっとだけ進むとき。
ブレーキホールドがかかったまま、もう一度踏むと解除できる。
クリープだけで進む方が、アクセルよりも調整しやすい。こんな細かい配慮もありがたい。メーターは大きくて見やすく、速度やシフトポジションもはっきり表示される。年齢とともに変わる視力にも、これは優しい設計だと思う。
そして、やはりタントといえば「ミラクルオープンドア」。
柱のないこの開き方は、後部座席へのアクセスでも荷物の積み下ろしでも助けられる。一番気に入っているのは、運転席のスーパースライドシート。50cm以上も後ろにスライドして、足を伸ばせる。ちょっと人を待つとき、後部座席に置いた荷物を取るとき、これがあるとないとでは雲泥の差。使い勝手を実感する。
都合で車内に1時間以上いることもあるが、音楽を流しながら、足をゆっくり伸ばせるこの環境は、ほんとうにありがたい。
走りはというと、「背が高い軽」にありがちな不安定さはない。シャシーにはしっかりした印象があり、15インチタイヤとの相性も悪くない。もっとグリップの強いタイヤに変えてみるのも面白そうだ(燃費は落ちるが)。
ただ、路面によっては突き上げ感がある。コツコツ、トントンと振動がくる場面も。もう少しの改良を望みたい。アクセルは少しクセがある。踏み込んでもすぐには加速せず、エンジン音だけが高まる。トルクが太ってくるのをじっくり待つ感覚で踏むのが良い。
右手下の「パワーボタン」は面白い。2,500~3,000回転を維持しながら押すと、一段ギアが入ったような加速に。登り道では特に心強い。
車内の質感は、見た目以上にがんばっている。手触りはプラスチックそのものだが、ピアノブラック調のパネルなど、随所に工夫を感じる。後部座席には折りたたみ式のミニテーブルもあり、ちょっとした飲食やタブレット利用にも使える(自分はまだ使ったことがないけれど)。また、後席の窓にはスライド式のサンシェードも備わる。この辺りにもタントの使い勝手のよさを感じる。
忘れてはいけないのが10インチのナビ(前のタントでは9インチだった)。やはり画面が大きいと安心できる。
アルパイン製の「音の匠」も良い仕事をしている。昔は社外品のオーディオを取り付けていたが、その頃からアルパイン一択だった。イコライザーで音の輪郭や位相を調整できる。スピーカーは6発だが、しっかり設定すればかなり聴かせてくれる。音楽を常に流している自分にとって、これはとても重要なポイントだ。
余談だがナビで使うSDカードの音楽整理は少し面倒。例えば「Enya」フォルダの中に40~50曲を入れて、それぞれに01・02…と番号を振る作業は地味に手間だ(曲順にこだわらなければ、この作業は不要)。けれど、CDを何枚も置くことを考えれば、圧倒的に使い勝手がよい。
たまに、意地悪な割り込みに出会うこともある。
けれども、使い勝手・走行性能では「至れり尽くせり」が実感。
可愛いやつなのだ。
参考リンク: ダイハツ・タント(公式) / Wikipedia

Zep
歩いた土地の匂いと、そこで交わした言葉。今も、色あせず胸にあります。